　４．　ＪＩＳコード　

　　　４－１　ＪＩＳコードとは
　　　４－２　半角ローマ字・半角カタカナ（１バイト文字）
　　　４－３　全角文字（２バイト文字）
　　　４－４　旧ＪＩＳ・新ＪＩＳ
　　　４－５　JIS X 0213
　　　４－６　ISO-2022-JP

４－１　ＪＩＳコードとは

ＪＩＳは日本工業規格（ Japanese Industorial Standard ）の略称で、工業製品の様々な規格を定めています。各電子機器で使われるデータの互換性を確保するため、文字コードもＪＩＳによって定められてるわけです。ＪＩＳコードの正式な名称は、「情報交換用符号化文字集合」といいます。何度かの改訂を経て、現在は2000年に制定された「JIS X 0213」が主に使われています。
ＪＩＳで規定されている文字コードには、次のようなグループがあります。

◆ 制御文字（１バイト文字　JIS X 0211）

　　0x00 ～ 0x1F, 0x7F,0x80 ～ 0x9F
　　ASCIIコードのコンソール制御文字を当てます。

◆ 半角文字(ANK文字) （１バイト文字　JIS X 0201）

　　半角ローマ字
　　半角カタカナ

◆ 全角文字（２バイト文字　JIS X 0208）

◇ＪＩＳ第一水準文字（3489字）
　　英数字,ひらがな,カタカナ,記号　524字
　　漢字　2965字

◇ＪＩＳ第二水準文字（3390字）
　　漢字、部首の形

◆ ＪＩＳ補助漢字（２バイト文字　JIS X 0212）

　　漢字　 5801字
　　非漢字  266字

◆ ＪＩＳ第三水準・第四水準漢字（２バイト文字　JIS X 0213）

　　第三、第四水準あわせて約5000字

４－２　半角ローマ字・半角カタカナ（１バイト文字）

俗にいう半角ローマ字・カタカナ＝ＪＩＳ１バイトコードを定めた JIS X 0201 の正式名称は、「７ビット及び８ビットの情報交換用符号化文字集合」といいます。国際規格 ISO 646 に準拠して日本で制定されました。規定されている文字の種類から、ＡＮＫ文字などとも呼ばれます。（Arphabet, Numbers, Katakana）
半角ローマ字に関して ASCII と異なるのは、0x5C が '＼' から '￥' へ、 0x7E が '～' から '￣' へ変えられていることぐらいです。
ところが、1997年の JIS X 0208 （後述する全角文字のための規格）改訂に際して、正式に「JIS X 0201 カナの方は将来的には削除する」（附属書１）と明記されました。過去資産との互換性を考え、当分はどのコンピュータもＪＩＳ半角カナを扱えるような仕組みを残すでしょうが、将来にわたっての表示、印刷可能性は保証されません。
正式名称にある通り、７ビット符号（ＪＩＳ７）、８ビット符号（ＪＩＳ８）の２種類が規定されています。

　　◆ JIS X 0201 の半角ローマ字・半角カタカナ ◆

◇７ビット符号（ＪＩＳ７）◇

○第１面
＼|+0123456789ABCDEF(下位)
00| ←制御コード
10| 　　JIS X 0221→
20| ▉!"#$%&'()*+,-./
30| 0123456789:;<=>?
40| @ABCDEFGHIJKLMNO
50| PQRSTUVWXYZ[\]^_
60| `abcdefghijklmno
70| pqrstuvwxyz{|}¯DL

○第２面
＼|+0123456789ABCDEF(下位)
00| ←制御コード
10| 　　JIS X 0221→
20|  ｡｢｣､･ｦｧｨｩｪｫｬｭｮｯ
30| ｰｱｲｳｴｵｶｷｸｹｺｻｼｽｾｿ
40| ﾀﾁﾂﾃﾄﾅﾆﾇﾈﾉﾊﾋﾌﾍﾎﾏ
50| ﾐﾑﾒﾓﾔﾕﾖﾗﾘﾙﾚﾛﾜﾝﾞﾟ
60|
70|
(上位)

◇８ビット符号（ＪＩＳ８）◇


＼|+0123456789ABCDEF(下位)
00| ←制御コード
10| 　　JIS X 0221→
20| ▉!"#$%&'()*+,-./
30| 0123456789:;<=>?
40| @ABCDEFGHIJKLMNO
50| PQRSTUVWXYZ[\]^_
60| `abcdefghijklmno
70| pqrstuvwxyz{|}¯DL
--------------------------
80| ←制御コード
90| 　　JIS X 0221→
A0|  ｡｢｣､･ｦｧｨｩｪｫｬｭｮｯ
B0| ｰｱｲｳｴｵｶｷｸｹｺｻｼｽｾｿ
C0| ﾀﾁﾂﾃﾄﾅﾆﾇﾈﾉﾊﾋﾌﾍﾎﾏ
D0| ﾐﾑﾒﾓﾔﾕﾖﾗﾘﾙﾚﾛﾜﾝﾞﾟ
E0|
F0|
(上位)
※ 半角カナは、UNIX系の端末では
表示されないかも知れません。

７ビット符号（ＪＩＳ７）の方では、単に文字コードを並べただけでは半角ローマ字とカタカナの区別がつかなくなってしまいます。
例えば半角カタカナ 'ｱ' は本来 0xB1 というコード番号ですが、ＪＩＳ７では８ビット目を扱わないので（下図の赤い数字のみを問題にするということ）、 0x31 すなわち半角数字 '１' と区別がつきません。

文字	1		ｱ
16進数	３	１	Ｂ	１
ビット	００１１	０００１	１０１１	０００１
	↑ 第８ビット		↑ 第８ビット

そこでＪＩＳ７では、カナとして扱いたい文字列の前後に、「今から半角カナ（第２面）だ」「今からローマ字（第１面）に戻す」という情報を意味する制御コードを挟み込んで、面を切り替える方法が採られます。
JIS X 0201 の元となった ISO-646 で定められている制御コード「シフトイン（ＳＩ）」「シフトアウト（ＳＯ）」を挟む方法や、後述する ISO-2022-JP のエスケープ・シークエンスを挟む方法などがあります。

４－３　全角文字（２バイト文字）

俗に全角文字といわれる文字には、いくつかのグループがあります。
　　・JIS X 0208 ～ＪＩＳ第１水準・第２水準
　　・JIS X 0212 ～ＪＩＳ補助漢字
　　・JIS X 0213 ～ＪＩＳ第３水準・第４水準
このうち最も一般的に使われている JIS X 0208 の正式名称は「７ビット及び８ビットの２バイト情報交換用符号化漢字集合」です。
これら２バイト文字コードには、共通して以下の２通りの表現方法があります。

　◆ ＪＩＳ区点番号 ◆
ＪＩＳの採用文字一覧表の正式な形といっていいものです。
文字の配列を４桁の１０進数で表現したもので、前の２桁を「区」（第01区～94区）、後の２桁を「点」（第01点～94点）と呼びます。つまり、ＪＩＳ全角文字は第１区～第９４区という９４個のブロックに仕切られ、各ブロックには第１点～第９４点に位置する９４個の文字が配置されているということです。
理屈上は 94×94 ＝ 8836 文字まで配置可能ですが、拡張用の未定義領域を残してあるので、実際は第１、第２水準で約 6,800 文字が配置されています。

ちなみに、なぜ９４×９４などという中途半端な数字なのかと言うと、次に述べるＪＩＳ１６進数コード（２バイトコード）との兼ね合いです。 JIS X 0211 制御コードの領域（0x00～0x20, 0x7F）を避けて、第１バイト・第２バイトともに 0x21 ～ 0x7E (10進数で 33 ～ 126）つまり９４個分の範囲しか用いていないのに合わせてあるのです。


　◆ JIS X 0208 区点番号の例 ◆

01区|+１２３４５６７８９10　～第１水準・記号
　00| SP、。，．・：；？！
　10| ＼゜´｀¨＾￣＿ヽヾ
　20| ゝゞ〃仝々〆〇ー―‐
　: |
　80| ￠￡％＃＆＊＠§☆★
　90| ○●◎◇

16区|+１２３４５６７８９10　～第１水準・漢字　　
　00| 亜唖娃阿哀愛挨姶逢葵
　10| 茜穐悪握渥旭葦芦鯵梓
　20| 圧斡扱宛姐虻飴絢綾鮎
　: |
　80| 茨芋鰯允印咽員因姻引
　90| 飲淫胤蔭

'愛'という字は16区の06点に位置し、区点番号＝~~1606~~ となります。

　◆ ＪＩＳ１６進数コード ◆
ＪＩＳ区点番号一覧をコンピュータで扱いやすいように、４桁の１６進数（２バイト）で符号化した文字コードです。上述の理由から、第１バイト・第２バイトともに 0x21 ～ 0x7E の範囲の数字のみを当てています。従ってＪＩＳ１６進コードは 0x2121 ～ 0x7E7E の範囲となります。


　◆ JIS X 0208　１６進コード ◆

　＼|+０１２３４５６７８９ＡＢＣＤＥＦ
    |
2120| 　SP、。，．・：；？！＼゜´｀¨　↓↓↓第１水準↓↓↓
2130| ＾￣＿ヽヾゝゞ〃仝々〆〇ー―‐／
 :  |
2330| ０１２３４５６７８９
2340| 　ＡＢＣＤＥＦＧＨＩＪＫＬＭＮＯ
 :  |
2420| 　ぁあぃいぅうぇえぉおかがきぎく
2430| ぐけげこごさざしじすずせぜそぞた
 :  |
3020| 　亜唖娃阿哀愛挨姶逢葵茜穐悪握渥
3030| 旭葦芦鯵梓圧斡扱宛姐虻飴絢綾鮎或
 :  |
 :  |
5020| 　弌丐丕个丱丶丼丿乂乖乘亂亅豫亊　↓↓↓第２水準↓↓↓
5030| 舒弍于亞亟亠亢亰亳亶从仍仄仆仂仗
5040| 仞仭仟价伉佚估佛佝佗佇佶侈侏侘佻
 :  |
 :  |

'愛' という字のＪＩＳ１６進コードは 0x3026 です。

４－４　旧ＪＩＳ・新ＪＩＳ

ＪＩＳ第１水準・第２水準漢字を規定する JIS X 0208 は、何回か改訂されました。
このうち、1983年の改訂が非常に大幅な変更だったため、1978年に制定された JIS X 0208:1978 を旧ＪＩＳ、JIS X 0208:1983 以降を新ＪＩＳと呼んで区別することがあります。
1990年頃まで日本のパソコンシェアのトップだったＮＥＣ PC-9801 シリーズがかたくなに旧ＪＩＳを採用し続けたため、 2000年頃までは混乱の元でした。

◆ 字形変更の例 (200字以上) ◆

区点	旧ＪＩＳ	→	新ＪＩＳ
1810	鷗	→	鴎

◆ 字形変更＋追加の例 (４組) ◆

区点	旧ＪＩＳ	→	新ＪＩＳ		追加
2238	堯	→	尭		8401 堯
4558	遙	→	遥		8403 遙

◆ 字形交換の例 (２２組) ◆

旧ＪＩＳ		→	新ＪＩＳ
1809 鶯	8284 鴬	→	1809 鴬	8284 鶯
2050 諫	7521 諌	→	2050 諌	7521 諫
3659 壺	5268 壷	→	3659 壷	5268 壺
4116 檜	5956 桧	→	4116 桧	5956 檜

98シリーズのパソコンも一般の職場・家庭では見かけることがなくなり、Windows も Windows10 が普及してきた現在、旧ＪＩＳ、新ＪＩＳといった言葉もほぼ聞かれなくなりました。

４－５　JIS X 0213

JIS X 0213は、JIS X 0208:1997を拡張する目的で、2000年に制定されました。主な変更点は、記号、符号などの追加と、第三・第四水準漢字などの正式サポートです。 JIS X 0208 と比べ、計約4000字追加されました。
第三・第四水準漢字をサポートするためには１万字以上の区点番号が必要ですが、従来の区点 94×94 ＝ 8836 では足りません。そこで、区点の概念が拡張されて「面」という範疇が作られました。 JIS X 0213 の区点コードは、「面-区-点」で表されます。記号～第三水準漢字までは「１面」とし、第四水準漢字は「２面」に振り分けられています。

また、この規格は、2004年に改定されています（JIS X 0213:2004）。この時、168字の字形を従来のものから変更しているのですが、Windows が VISTA から JIS2004 を正式に採用し、日本語フォントのＭＳ明朝、ＭＳゴシックをこの最新版に合わせたことから、古いWindows（のフォント）とVISTA以降（のフォント）との間で、かつての新ＪＩＳ、旧ＪＩＳ問題を彷彿とさせるような問題が生じました。
人名漢字などに正確を期したい場合、古いＰＣと新しいＰＣが混在している環境だと、「どのＰＣで出力したかで、'辻'という字のしんにょうの点が１個になったり２個になったり」ということが起こり得ます。素人には、「どこが問題なのか」からしてわかりづらく、なかなかやっかいな問題でした。

◆ JIS X 0213:2004の字形変更例（一番右が Windows VISTA 以降） ◆

（http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/ref/jisrev.htmlの情報を加工させていただきました）

Windows10 が登場し、Windows XP の正式サポートも切れた 2018 年現在、WindowsXP 以前のＰＣを使われている職場環境・家庭も少なくなってきていることと思います。Windows XP の完全引退とともに、上記の問題も解消されるでしょう。

４－６　ISO-2022-JP

７ビット符号体系において、半角ローマ字・半角カナ・全角文字は、単にコードを１バイト単位で見ただけではどの文字種なのか区別できません。
例えば、全角文字 '愛' を表わすコード ~~0x3026~~ は、そのままでは半角ローマ字２文字からなる文字列 "0&"とも、半角カナ２字からなる"ｰｦ" とも区別がつきません。

文字	愛		0	&	ｰ	ｦ
16進数	30	26	30	26	30	26
種類	全角１文字		英数２文字		カナ２文字

インターネット上で、半角・全角文字を切り替えながらＪＩＳコード（ＪＩＳ７のみ）を処理するための標準的な決まりが ISO-2022-JP です。 "ＩＳＯ－" とありますが、国際規格 ISO 2022 （こちらは８ビット符号も規定しています）そのものではありません。
0xIB (ESC) で始まることから「エスケープ・シークエンス」と呼ばれる制御コードによってコードの種類を切り替えて、半角ローマ字、半角カナ、全角文字を混在させます。制御文字も含めすべてのコードが 0x00 ～ 0x7E の間に収まっているため、７ビット符号しか受け付けないシステムも多いインターネットメール・ニュース関係と親和性の高い規格です。
現在の所、中国語、韓国語との混在まで考慮できる ISO-2022-JP-2 までありますが、この章ではひとまずＪＩＳの範囲に収まっている ISO-2022-JP-1 で使われる文字種を紹介します。

エスケープシーケンス		文字種
0x1B　0x28　0x42	[ESC] ( B	ASCIIコード
0x1B　0x28　0x4A	[ESC] ( J	JIS X 0201 (半角ローマ字)
0x1B　0x24　0x40	[ESC] $ @	JIS X 0208:1978 (全角旧JIS）
0x1B　0x24　0x42	[ESC] $ B	JIS X 0208:1983 (全角新JIS）
0x1B　0x24　0x44	[ESC] $ D	JIS X 0212 (補助漢字)
↓↓　規定外だが使える場合が多い　↓↓
0x1B　0x28　0x49	[ESC] ( I	JIS X 0201 (半角カナ)

ISO-2022-JP では、基本的に「JIS X 0201 半角カナは使わない」という決まりになっています。ただし、送信側、受信側双方のアプリケーションが　[ESC] ( I　をサポートしていれば利用できる場合も多いようです。
例えば "~~1年ｲ組☆~~" （"1"と"ｲ"は半角）という文字列を表現するには、実際には以下のようなコードとなります。（コードの数字は16進数）

文字		半角英数			1	全角			年		半角カナ			ｲ	全角			組		☆
コード		1B	28	4A	31	1B	24	42	47	2F	1B	28	49	32	1B	24	42	41	48	21	79

８バイトの文字を表現するのに、２０バイト必要です。
エスケープ・シークエンスは、切り替えのたびに３バイトものデータが付け足されてゆくので、半角文字と全角文字が混ぜこぜになっているような文書では、これだけでかなりのデータ量をくってしまいますし、表示文字数と実際のデータ量が異なるわけですから、プログラムを開発する側からすると、複雑な処理を作らなければなりません。コンピュータ内の内部処理には向かない規格です。
そのため、データ量のスリム化、処理の簡素化などを目的として、「シフトＪＩＳ」というコード体系が考え出されました。

４． ＪＩＳコード

４－１ ＪＩＳコードとは

４－２ 半角ローマ字・半角カタカナ （１バイト文字）

４－３ 全角文字 （２バイト文字）

４－４ 旧ＪＩＳ・新ＪＩＳ

４－５ JIS X 0213