７． 日本語入力と文字コード
７－１ 難しい漢字の呼び出し
プログラミングをする人以外で文字コードを気にすることがあるとすれば、 日本語入力の際に、かな漢字変換では出せない難しい漢字を呼び出す時が多いのではないかと思います。 かな漢字変換以外で漢字を呼び出す方法には、・コード入力 ・部首変換 ・MS-IMEの「IMEパッド」、ATOKの「文字パレット」等 （手書き入力、文字一覧表示など）
このうちコード入力と部首変換については、第６章で解説したＪＩＳコードのあり方を理解しているかどうかで、 使い勝手が大きく違ってきます。
７－２ コード入力
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コンピュータに付属の日本語入力機能（ＩＭＥ）の読みがな変換機能では出せない漢字も、
字典／辞典で調べた文字コードから出すことができます。
コンピュータへの漢字入力に便利な「文字コード字典」の類も市販されていて、 かな漢字変換による呼び出しが難しい漢字を頻繁に入力する人は一冊購入するといいでしょう。 その辞典にコードが載っていなければ、コンピュータでは表示できない文字だということも一発でわかります。 近年、普通の漢和辞典の多くにも、ＪＩＳコードが掲載されるようになってきたので、 実はこれも十分使えます。 左図は、旺文社漢和辞典[第五版] （左）および学研改訂新版漢字源（右）の '愛' の項です。 旺文社では、一番下にＪＩＳ区点番号とＪＩＳコード(16進数)、 学研では漢字の下にＪＩＳコード(16進)と Unicode が記されています。 |
有名所である MS-IME と ATOK のコード入力機能を紹介します。
◆ MS-IME（例は MS-IME2012） ◆
文字コード（16進数）を直接打ち込み、[F5] キーを押すと、Unicode、Shift-JIS、ＪＩＳの候補が表示されます。
ローマ字入力をしている場合、A、E は、「あ」、「え」と表示されたままでかまいません。 例えば、'聚'（シフトJISで 0xE3DA）をコード入力すると確定前の表示として「え３だ」と表示されますが、 そのまま [F5] キーを押せば、候補に '聚' が現われます。 （下図における一番上の「・」はUnicodeとしての候補です。意味ある字形が当たっていないためそのような表示となっています。）
ＩＭＥパッドを表示し、手書き入力で検索したり、部首から検索することも可能です。
◆ 最新の ATOK（ATOK 2017） ◆
ATOK Pro（'Pro'は一太郎同梱版の名称） には「文字コード辞書」が用意されています。
４桁の数字を打ち込み、[Shift]＋[F6]キーを押すことで、それに対応する文字コードの漢字が候補に示されます。
複数のコード体系に対応しています。
◆ それ以前の ATOK（ATOK14を例に） ◆
[F10] キーを２度押します。
（押すごとに 半角入力→コード入力→記号入力→かな入力 と切り替わります）
コード入力用の細長いウィンドウが出ます。
最初はシフトＪＩＳを受け付けるようになっています。 左端の [シフトＪＩＳ] とある所をマウスでクリックして、 シフトＪＩＳ→ＪＩＳ→区点 を切り替えていきます。
文字コードを入力すると、該当する文字が表示されます。
７－３ 部首変換
ＪＩＳ第２水準は、部首画数順に配列されています。かな漢字変換において「部首の名前を入力」すると、 該当する部首の文字の先頭から始まる文字一覧が表示されます。 そこから目的の文字を探し、確定します。正確なコードを調べなくとも、部首の感覚がある人は、 わりと簡単に目的の文字を探すことが可能です。部首の呼び方はＩＭＥの種類によってそれぞれ若干異なるので、それぞれのＩＭＥのヘルプなどを参照して、 よく覚えておくとよいでしょう。
これも MS-IME と ATOK の例を紹介します。
◆ MS-IME（MS-IME2012 の場合） ◆
部首名を入力して [F5] キーを押すと、該当する部首の一覧がＩＭＥパッドに表示されます。 ＪＩＳ第２水準だけでなく、ＪＩＳ第１水準からユニコードまでカバーした一覧を表示させます。 また、伝統的には一括りにされる「にんべん」と「ひとやね」、 「ひへん（火偏）」と「れんが」、「みず（水）」と「さんずい」などは、別々にリストアップしてくれます。
ローマ字入力をしていて「○○へん」を出したい時に、「○○へｎ」ではエラーとなります。 しっかり「ん」までひらがなにしてください。
「や」→[F5]
◆ 最新の ATOK（ATOK2017） ◆
部首名を入力して [Shift]＋[F6] キーを押すと、該当する部首の漢字が変換候補として延々と現れます。 多くの文字を一目で概観できる「文字パレット」を利用した方がいいかもしれません。
◆ ATOK（ATOK14を例に） ◆
部首名を入力して [Shift]＋[F6] キーを押すと、細長いウィンドウに第２水準文字の、 該当する部首の最初の文字から始まる一覧が表示されます。
第２水準の順に出てくるだけなので「にんべん」「ひとやね（入力してもエラーとなる）」、 「ひへん」「れんが（エラーとなる）」、「みず」「さんずい」などすべてひとまとまりとされます。
MS-IMEと異なり、「○○へｎ」でもエラーとなりません。「○○へん」と解釈してくれます。
探している文字が実は第１水準だった場合、候補には現れないので、そこはちょっと注意。
このほか、「文字パレット」による漢字検索機能があります。ツールバーのパレットの絵（虫食いのりんごにも見える） をクリックするか、[Ctrl]＋[F11] キーを押すと現れます。
例えば「れんが(灬)」で漢字検索すると、'偽'（この字自体の部首はにんべんです） や '鳥'、'魚' を含む字など、部首というより '灬' という形をちょとでも含む字が第１水準からユニコードまで、 どかどか検索されます。
ただここまでくると、個人的には部首というものの概念を無視した「やりすぎ」だと思うのですが……。
